テクノロジーの進歩で21世紀の書籍販売はどう変わった?

 

 

f:id:ronnieeda:20180126235718j:plain

unsplash-logo James Tarbotton

 

21世紀になると新しい技術上の変化が出版業界にも訪れた。

 

代表的なものに「電子書籍」「オンデマンド印刷(POD)」「アクセシブル・パブリッシング」などがあげられる。

 

電子書籍

電子書籍は2005年ごろからアメリカやイギリスなどの主要な出版業界で急速に普及してきた。

 

グーグル、アマゾン、ソニーなどが出版社や図書館と協働して書籍のデジタル化を続けてきた。

 

アマゾンのキンドル電子書籍市場で大きなシェアを持っているが、ほかにもアップルのiPadやバーンズ・アンド・ノーブルのNookも人気を獲得している。

 

電子書籍のシェア拡大とともに、「Oyster」や「Scribd」といった企業がいわゆるサブスクリプション形式を採用し、会員に様々な種類のデバイスで読むことができるデジタルコンテンツへの無制限アクセス(ストリーミングサービス)の提供を行っている。

*Oysterは2015年にグーグルに買収された。

 

オンデマンド印刷

オンデマンド印刷ではいわゆる「版」を用意する必要がないため、スピードと費用対効果の高さが約束される。

 

その結果、出版社は書籍の在庫管理の手間(と費用)が省けることになった。

 

この技術は本の売れ行きが見込めない場合、もしくは売れ行きが想定できない場合にとくに役立つものである。

 

オンデマンド印刷を採用することで小規模の出版社は費用を抑えることができ、また大規模な出版社は古いカタログに載っている書籍もコストをかけずに売り続けることができるようになった。

 

アクセシブル・パブリッシング

「Accessible publishing」とは書籍のデジタルデータをXML形式におとし、様々なフォーマットに加工して顧客に販売してゆくもの。

 

大型の文字を使用したフォーマット、識字障害(ディスレクシア)を持つ人へのフォーマット、または点字やオーディオブックへの変換が出来るものもある。

 

 

また、近年は「グリーン・パブリッシング」という概念も出てきた。

 

"グリーン" という言葉の示す通り、環境へのインパクトを最小限に抑える出版プロセスを採用することをいう。

 

オンデマンド印刷がその例のひとつで、顧客の近くで印刷・製本することで商品の長距離の運搬が必要なくなり、結果として環境に対する負荷を抑えることができる。

 

オンライン・パブリッシングの功罪

実際の書籍をつくらない「オンライン・パブリッシング」もある。

 

これは作家自身が電子書籍を用意してウェブサイトにアップロードし、読みたい人がダウンロードして読む、というもの。

 

オンラインで読者と直接かかわることで、自分の書籍の販売を進めていこうとする作家は増えてきている。

 

電子書籍の販売プラットフォームである「Smashwords」やアマゾンの「CreateSpace」といった無料サービスを使えば、世界規模で自分の書籍を販売できるのである。

 

とくに初めて本を出版する作家たちは大手のエージェントや出版社に相手にされない場合も多く、彼らにとってはこういったサービスは大変意義のあるものだ。

 

一方、従来はプロの編集者たちによって行われていた文章の細かいチェックなどが行われないため、ネットに接続できる人ならどんな本でも出版できるようになってしまった。

 

そのため需要に関係のない、さらには読むに値しない可能性のある本までネット上で販売されるような事態も生み出しているのである。